フランスにおける生命保険の受益者 (Les bénéficiaires d'un contrat d'assurance vie)

フランスにおける生命保険の受益者 (Les bénéficiaires d'un contrat d'assurance vie)についてご説明します。

 

  • 契約者の死亡と受益者への通知
  • 保険会社は生命保険の受益者を見つけるためにすべての努力をするということになっていますが、現実はなかなか理想どおりに行かず、現在受益者が見つからなくて滞っている保険金の支払いが20から30億ユーロあるということです。生命保険金全体の1兆1650億ユーロに比べたら微々たるものですが、受け取りそこなった個人にしたら、まとまった金額です。

    2005年12月15日の法で保険会社は契約者の死亡を知ったら、契約書上で分かっている受益者へ連絡を取ることが義務つけられました。ところが問題は、契約者が死亡しても必ずしも保険会社はその死亡を通知されないということです。

    かなり多くの場合について保険会社が契約者の死亡を知るのは、年々の口座明細を送ったときに、あて先人不明あるいは死亡ということでその明細が送り返されてきた時だということです。そうなると金額が少額で動きがないと、明細が送られることもなく、このような形で死亡が発覚するという可能性もなくなります。

    2005年12月15日の法ができた時に、保険に関するリスクの情報を管理する組合 Association de gestion des informations du risuqe en assurance -- Agira) が出来ました。近親のものがなくなった時は誰でもこの組合に死亡した人が自分を受益者にして生命保険をかけていなかったか問い合わせることが出来ます。

    更にこの方面の法は、2007年12月17日の法で強化され、保険会社は時宜に応じて契約者が死亡していないか確認する義務が出来ました。そのために、国立統計局 (INSEE) が管理している国民の身元に関する総覧 (Répertoire National d'Identification des Personnes Physiques -- RNIPP) を保険会社が参照することを許可しました。この総覧では、フランス国本土内の死亡についてすべて記録されています。

    他方、保険会社組合は、90歳以上の契約者で金額が2000ユーロ以上、且つ2年以上音信不通の場合には、死亡かどうか確かめるということを決めています。 現在、保険に関するリスクの情報を管理する組合 (Agira) は1978年(これ以前には実質上生命保険は殆ど存在しませんでした)以後に記録された死亡の記録をすべて持っています。保険会社はこの資料を使うことが出来ます。

     

  • 受益者の注意点
  • 次に受益者を探す場合ですが、契約書に、夫または妻あるいはPACSのパートナーと書いてあれば、保険会社は遺産相続を担当した公証人あるいは市役所で受益者を探し出すことが出来ます。

    ところが契約をした山田太郎さんがなくなって契約上には山田次郎とだけなっていると、それが山田太郎さんの子供の山田次郎なのか全然関係のない山田次郎なのか判然としません。そうなると問題が起こってきます。 この辺はなかなか微妙なのを少し例を上げてみます。

    PIERREが保険をかけます。PIERREの妻は少し前になくなリました。彼らはANTOINEを含み4人の子供がいるとします。そしてこのANTOINEは二人の子供を残して死亡しました。さてこの状況の中で、次の生命保険契約の条項を検討します。

    (1)Les capitaux reviendront à mon conjoint, à défaut à mes enfants nés ou à naître, à défaut à mes héritiers.    

    この条項ですと、PIERRE の生存している3人の子供が生命保険を3等分して分けます。ANTOINE の子供達は一銭も受け取れません。ANTOINE の相続分をその遺産相続人が相続するということは生命保険の場合には自動的ではないのです。

    ついでながらこの条項ですと、夫あるいは妻が生きている場合、たとえそれが離婚の手続き中あるいは別居していても生命保険を受け取る権利があります。それを避けるためには、次のようにはっきりと明示することが必要です。    

    "mon conjoint non séparé de corps et non en instance de divorce"

    (2)Les capitaux reviendront à mon conjoint, à défaut à mes enfants nés ou à naître, vivants ou représentés, à défaut à mes héritiers.

    この条項ですと、生命保険金は4等分されて、3人のPIERREの子供と残りの4分の1はANTOINEの子供に行きます。従ってANTOINEの二人の子供は8分の1の金額をそれぞれ受け取ることになります。

    (3)Les capitaux reviendront à mon conjoint, à défaut mes enfants nés ou à naître par parts égales entre eux, vivants ou représentés par suite de prédécès ou de renonciation au bénéfice du contrat, à défaut à mes héritiers selon l'ordre de dévolution successorale.

    この場合もPIERREの3人の子供が4分の1、ANTOINEの二人の子供が8分の1、それぞれ受け取ります。違う所は、PIERRE の生きている子供が自分の子供に自分の取り分を相続させるために放棄することが可能ということです。この放棄の場合は、生命保険の直接の受益者がその放棄した人の子供になりますから生命保険に関する法が適用されるために、相続税が一切かかりません。 この条項がないのに放棄をすると、自分の取り分は同じランクの受益者(この例の場合ですと、他の兄弟姉妹)へ行ってしまいます。

     

    保険会社が受益者を見つけるのやその確認をするのに役に立つように、

    (1)姓名・生誕地・現住所等をきちんと書く。

    (2)友人・同胞といったあいまいな表現は誤解の元です。

    (3)原則として、姓名・生年月日・生誕地が分かっていれば保険会社はたとえ引っ越していても受益者を見つけ出します。

    (4)女性のお孫さんに残しておく場合などは、そのお孫さんが結婚して姓が変わった時は、保険会社に連絡して、契約書に補足をつけておくことが必要です。ただし保険会社の法務部がきちんと検討せずに補則をつけると、支払いのときに不要な問題が起きることがありますから気をつける必要があります。

     

    受益者に生命保険をかけていることを教えてしまうと、以前はこの受益者が契約者の知らない間に保険会社に受益者としての権利を受諾すると通知すると、契約者はこの保険を受益者の同意なくしては解約することも条件を変えることも出来ませんでした。

    2007年12月17日の法以来、受益者は受益者としての権利を受諾するためには契約者の同意を必要とするようになったため、契約者の知らないうちに受諾するということは不可能になりました。そのうえ、契約者が契約の解約の権利を放棄する旨を明示しない限り、たとえ受益者が受諾しても、受益者は契約者が契約の解除をすることを阻むことは出来なくなりました。

    それでも誰の為に生命保険をかけているか等をなるべく秘密にしておきたい場合は、公証人のところで遺言をつくり生命保険の受益者について言及して置けばよいでしょう。この時は生命保険のほうへは次のように明記しておきます。

     "voir testament déposé chez Maître X."

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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